初めに

ここで言うテーブルセッティングとは、ナイフが右でフォークが左と言うような基本位置ではなく、おもてなしをする際のホストの役割り全般・心構えなど広範囲に及びます。 何とな~く好きな物を並べるのではなく、宴の趣旨、時期や参加者に合せたり、共通する趣味や好きな映画など様々なイメージを膨らせましょう。関連:イメージを膨らませる「5」のヒント

かつて、中世イタリアのある宴会には、ゲストをもてなすために考えられた設計図があったと云います。そのことから、ホストがいかに時間と情熱を注いだかが垣間見えます。 また茶人千利休は、秀吉を迎える前に、庭に咲いていた朝顔をすべて落し、茶室に一輪だけ飾りました。他の全てを犠牲にすることで、ただ一輪の存在を究極に高めた見事な演出ではないでしょうか。

西洋・東洋、豪華・質素の違いはありますが、その心意気からは今日の私達にも通底して学べるものがあります。

そこで、正式なテーブルセッティングと言うよりは、"自宅で出来るテーブルセッティング"を考えます。自分の生活スペースにゲストを招待するには抵抗があるかもしれません・・・しかし、お互いの距離を縮める最良の方法ではないでしょうか。 招待しようと思った時が始まりです!

空間演出の指針

例えば、六畳部屋ひとつでこれらを実現するのは厳しいですが、複数の部屋~庭を含めた敷地全体なら十分に可能かと。関連:模様の要素とイメージ

分類特徴象徴的な効果
シンメトリー対照的、幾何学的に配置して整える秩序・壮大・無限
コントラスト異なる性質・量のものを空間に同時に対比する。自然/人工(材料)・新旧・明暗・色彩etc差が顕著な分、互いに引き立つ
連続規則的、周期的な繰り返し安定感・秩序
転換空間を瞬時に異なる時間・場所へ変化させる動的で雰囲気の高揚や落ち着きを演出
複合・ネットワーク何らかを軸としたいくつかの要素の集合体

掃除

自宅にゲストを招くとなれば、あれもこれもと慌しくなるでしょう。 そんな中で、家中を大掃除するのは大変です。 玄関、トイレ、洗面台、家電など、ゲストが目にするところは案外、限られているもの。これらのポイントを押さえれば、時間を掛けずにきれいな印象になるでしょう。 逆に、家をきれいに保つ秘訣は、ゲストを定期的に招くことかもしれませんよ。

関連:掃除 | 手抜き家事のための「しない」発想

センターピース・フィギュア

センターピースとは、花・果物・菓子の盛り合わせ、キャンドルや置物など、テーブルの中央を装飾するものです。

センターピースを選ぶ場合のポイント

  • まず、パーティーの趣旨、ゲストの人数、年齢層などを考え、話題のきっかけになるような品をイメージ。
  • 料理、食器、パーティーの質、季節などを考慮して、センターピース、色使いを決めましょう。ここがあなたのセンスの見せ所(以後、極力「センス」の一言で片付けないようにします)。

部屋の入り口に立って目に付くところ、尚且つ、動線(=人の流れ)の妨げにならないことでしょうか。最大のコツは、経験を重ねる事!

  • テーブルとセンターピースのバランスは、一般的に、テーブルの長さの1/3、幅の1/3、高さは、席についた時に目線の邪魔にならない程度でしょう。 ※ビュッフェなどゲストが自由に動く場合は、天井からさげたり、柱に巻きつけるなど様々です。動線を無視した配置は「邪魔な物」として認識される恐れがあるので注意しましょう。

『食器は料理のきもの』北大路魯山人

季節にあった食材を調理して、それにあった大きさや色柄の器を選び、盛り付ける。 夏であれば涼しさを感じるように演出して、冬ならばその逆など、先人の知恵はたくさんありますね。 陶器・磁器の印象と性質の違いも、料理とあわせる際のヒントになります。 どれを選ぶかは好み次第ですが、料理との相性・季節感の他にも、使いやすさや収納も ポイントになると思います。

ちゃぶ台(背の低い卓)に料理を乗せると、食べる人の口元までは比較的に高さが生じます。 これゆえに器を持って食するのが自然な流れとなるのでしょうか。 多少、料理を盛り付けている器が深くても目線が高いので、料理が器に隠れてしまうことは避けられそうです。 一方、テーブルと椅子であれば、料理と顔の距離は近くなりますので、覗き込まないと料理が見えないような深い椀(ボウル)には、その配置も含めて注意が必要でしょう。

洋食器

基本アイテムは平皿の27cm,18cm程度、少し深さの有るサラダソーサー、カップ&ソーサーを1セットとして人数分揃えます。 その後、ライフスタイルに合わせてアイテムを増やしましょう。

ティータイムを満喫したいなら、ティーポット、クリーマー、シュガーポットを。 家族や来客が多い場合はオーバルプレート、サラダボウル、ブレッド&バタープレートを追加しましょう。

食器を追加することも考えると、色彩豊かな食器は入手しずらくなるかもしれません。白磁・ブルー&ホワイトなどのシンプルなものならば、同様な食器を探すのも楽なはずです。

洋食器のみの場合は、色彩が乏しくなるので、テーブルクロスなどのリネンで季節にあった色にするなどの変化をもたせましょう。また、平皿が多くなりがちです。高さのアクセントには、センターピースを用いると効果的です。

和食器

ダイニングテーブルやベッドなど西洋の家具を、大きくて各部屋に固定的な動かさないものとすると、日本のちゃぶ台・お膳・布団などは、使うたびに動かすものであります。 食器も同様に、ご飯茶碗や汁椀を手に持って食べますね。 各人で手の大きさや口当たりに合った使い易さがあるでしょうし、運び易さや収納性に優れたデザインであることも考慮したい点です。

関連:和食作法のルーツ | 和食器

カトラリー

コース料理では、外側からナイフ・フォークを使っていきますが、ご家庭(料理数の少ない場合)では、同じカトラリーで召し上がっていただくためのカトラリーレストがあれば十分でしょう。

素材としては、銀製、洋白銀メッキ製、ステンレス製などがありますので、テーマや食器とのバランスを考慮しましょう。 銀製のカトラリーをお持ちであれば、歯磨き粉・タバコの灰をやわらかな布に付けて拭くと黒ずんだ(硫化銀)部分が研磨され、元の輝きに戻ります。 もし、あなたが銀製で菊の紋入りのものをお持ちであれば・・・ 皇族ですか?!

関連:カトラリー

世界中で箸を使う民族は日本の他に、中国、朝鮮、ベトナムなど比較的粘り気のある穀物を主食とする国々。パサパサなインディカ米は、主に手食となります。

日本の場合、箸は単に道具としてだけではなく、神聖なものとして崇められていたようです。両端が細くなっている箸の片方は、収穫に感謝するため 神様が使えるようにしたもの。 利休はゲストを迎える際に吉野の赤杉を小刀で削り、先端を水に付け食事の前に水気を拭ったそうです。 こうすると食事が箸に付き難く、ほのかな杉の香りも楽しめる訳です。これが懐石料理の利休箸です。

ゲストが到着する前、暫く冷水に浸しておき、水気を拭きとっておきましょう(塗り箸は不要)。 白木のしゃもじにご飯が付かないようにするのと同じです。

関連:お箸について

お香

我が国には仏教伝来と共に伝わったお香。その種類は大きく分けて、【直接火をつける線香タイプ】【香木・練香など間接的に温めて香らせるタイプ】【匂い袋など火を使わないタイプ】の3つ。 おもてなしの場合には、ゲストの到着前にお香を焚き、ほのかな残り香が残る程度が良いでしょう。強すぎる香りは料理の魅力を損ないます。 もし、寒い冬にゲストを迎えるなら、火鉢に香を入れて、部屋を温めておくのは、いかがでしょうか。香りは、さりげないのが粋。香水プンプンの若者とすれ違った時に、「ハァー・・」とため息が出そうなのは、私がオッサンだからでしょうか?

食事中にタバコを吸うか吸わないか

味覚を損ねるので料理の味が分からなくなる。これは喫煙者自身だけでなく、同席の方や料理人へも礼を欠いた行為でしょう。 愛煙者であっても、食後のコーヒータイムまでは、グッと我慢されては。

ちなみに冷水または氷を口に含むと吸いたい欲求が緩和されるそうです。

リネン

本来、リネンとは麻を指し、「亜麻(リネン)」、「芋麻(ラミー)」、「大麻(ヘンプ)」、「黄麻(ジュート)」に別れます。しかしここでは【テーブルクロス】【ナプキン】などのテーブルリネンを指します。

もともとは、ローマ時代に野戦地でそこら辺の板に布をかぶせたのが始まり。現代人の私たちではビックリですが、テーブルクロスのすそで汚れた口や手を拭ったようです。逆にクロスが綺麗なままだと、「汚れるまでもない程度の食事」とみなされたとか。装飾的になるのは中世以降の話です。

良質なのは、フランス、ベルギー、ロシアなど比較的寒い地方のもので、中でも亜麻100%の白が最上となり、次いで、ダマスク織、白の綿となります。

テーブルクロスにフォーマル感を出すには、クロスの裾がテーブルの高さの半分以上は垂れるように。そして、テーブルクロスの下にはアンダークロスを敷きましょう。

リネンは【清潔さ】を表すアイテムですので、ノリの効いたものを用意し、ナプキンも出きるだけ手を触れず軽く折る程度にします。 これで、国賓級のゲストにも対応出来ますよ。ご家庭用では綿に刺繍やレースがついたものでも十分にレベルの高い食卓になります。カラフルなリネンも季節感や食卓を賑やかにするのに役立つでしょう。

ゲストの場合なら、食事後のナプキンはパッとテーブルに置いておく方が良く、きちんと畳むのは「美味しくなかった」のサインになります。この辺は、そのルーツの名残りでしょうか。

関連:テーブルナプキンの折り方

お茶

アジア各国に無数に存在するお茶。お気に入りのお茶を見つけて試してみましょう!

  • 沸騰したお湯を急須と湯呑みに入れ、急須のお湯は温めたら捨てます。
  • 急須に茶葉を人数分入れ、湯呑みのお湯を急須へ。
  • 急須のふたをして茶葉を蒸らします(種類により時間は異なります。玉露などは、温度を下げ、じっくり蒸らしましょう)。
  • お茶を注ぐ際は急須を下から上へと茶葉を中で動かすように。それぞれのお茶の濃さが平均するように順々に注ぎ、最後の一滴まで残さないようにましょう。

上座/下座

出入り口から遠い方が上座、近い方が下座なのはご存知でしょうから改めて書くのもなんでが・・・ 続きは席次いろいろへ。

後書き

世阿弥の『風姿花伝』に「守破離」という言葉があります。

  • 守:基本の教えを踏襲して、
  • 破:その先に自分なりの工夫を加え、
  • 離:すっかり染み付いたので自由に。

関連:日本の三位一体

進行形で後書きというのも変ですが、"自宅で出来るテーブルセッティング"に少しでも参考になれば幸いです。 基本的なテーブルマナー、食器の配置などを踏まえた上で、色々と試してみてください。そして、できればフィードバックして頂けるとありがたいです(^◇^)

私たちが出来るのは「完璧なおもてなし」ではなく「最善なおもてなし」なのでしょう。なぜなら、どこも変える必要がないおもてなしを誰も知らないのですから。 古今東西、多種多様なスタイルがありますが、共通の"質"はあるはずです。 マニュアルどうりだと「失敗はしないがそれ以上もない」ことを意味しますよ、なーんて。


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Last-modified: 2008-12-04 (木) 15:16:53