恐らく耳にした事はあるであろう伝統的な概念「心技体」、「守破離」、「真行草」そして「食う寝る遊ぶ?」etc. を考えてみた。

心・技・体

スポーツや武道の世界であまりにも有名なので、いきなり省略です。

守・破・離

仮に、師匠と弟子の関係を想像すると分かり易いかと。

  • 守:先人や基本の教えを踏襲する段階
  • 破:その先に自分なりの試行錯誤を試みる段階
  • 離:「基本と表面上・形式上の違いはあるが内面は通底する」と解釈。以下にもう少し。

求道者が辿るプロセス

何かを極めようとする求道者が辿るプロセスは、禅宗の『十牛図』を参考にしました。 つまり1~3が「守」、4~6が「破」そして、7の「忘牛存人」以降が「離」ではないかと。これ以上の愚見を重ねる気はないので文字からも「離」しようかと...

※十牛図では、「牛」を「悟り」に例えてます。
引用元:十牛図 - Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%81%E7%89%9B%E5%9B%B3

1. 尋牛(じんぎゅう) - 牛を捜そうと志すこと。悟りを探すがどこにいるかわからず途方にくれた姿を表す。

2. 見跡(けんせき) - 牛の足跡を見出すこと。足跡とは経典や古人の公案の類を意味する。

3. 見牛(けんぎゅう) - 牛の姿をかいまみること。優れた師に出会い「悟り」が少しばかり見えた状態。

4. 得牛(とくぎゅう) - 力づくで牛をつかまえること。何とか悟りの実態を得たものの、いまだ自分のものになっていない姿。

5. 牧牛(ぼくぎゅう) - 牛をてなづけること。悟りを自分のものにするための修行を表す。

6. 騎牛帰家(きぎゅうきか) - 牛の背に乗り家へむかうこと。悟りがようやく得られて世間に戻る姿。

7. 忘牛存人(ぼうぎゅうぞんにん) - 家にもどり牛のことも忘れること。悟りは逃げたのではなく修行者の中にあることに気づく。

8. 人牛倶忘(にんぎゅうぐぼう) - すべてが忘れさられ、無に帰一すること。悟りを得た修行者も特別な存在ではなく本来の自然な姿に気づく。

9. 返本還源(へんぽんげんげん) - 原初の自然の美しさがあらわれてくること。悟りとはこのような自然の中にあることを表す。

10. 入鄽垂手*1(にってんすいしゅ) - まちへ... 悟りを得た修行者(童子から布袋和尚の姿になっている)が街へ出て、別の童子と遊ぶ姿を描き、人を導くことを表す。

真・行・草

英語に訳せば、

  • 真:ベリー・フォーマル
  • 行:フォーマル
  • 草:カジュアル

中国東晋の書家、王羲之(おうぎし)*2に端を発する。真の楷書体、略式の草書体、その中間の行書体。 時代が下って日本の書道・能・花道・茶道や建物・庭などに広く展開する形式および心得まで内包する様式概念。 鯱張らずに言うと、深々としたお辞儀を「真」、会釈を「草」、その中間の「行」みたいな感じっす。

舶来文化から国産"枯淡寂静"文化へのシフト

ここでは茶の湯の「真行草」をみてみます。 南北朝時代から室町中期にかけて、当時のバサラ大名達に好まれた贅沢な唐物とそれに見合う書院造の建築様式が「真」であったといえます。

そんな中、喫茶がより広く普及した十五世紀後半には、村田珠光(1422-1502)が登場する。 当時、国内の陶磁器製造技術は粗く、精巧な唐物に比べて不完全な下品でしたが、彼が弟子に伝えたとされるのは「和漢のさかいを紛らわす」または「ヒエカルル(冷え枯るる?)こそ面白くあるべき也」といったスタイルで、その後の侘び茶へと通じる萌芽であったといえるでしょう。

その後、武野紹鴎(1502-1555)らを経て、千利休(1522-1591)が活躍するころには、唐物から不完全な美を持つ国産物が「真」へと変容します。 それまで様式・形式的な区別であった「真・行・草」がより精神的な面での「真・行・草」へ 昇華したといえるでしょう。

利休亡き後に活躍した茶人達を、寛永時代の読まれたある狂歌は、 『織理屈、綺麗キツハハ遠江、於姫宗和ニ ムサシ宗旦』と各人のスタイルを表しています。 特徴を端的に表すと;

  • 古田織部(1543-1615) 傾奇(かぶき)→歌舞伎の源流
  • 小堀遠州(1579-1647) 綺麗さび
  • 金森宗和(1584-1656) 繊細・華奢
  • 千宗旦(1578-1658) 利休の孫で侘び茶を継承

ここに至っては、もはや形式的に「真・行・草」を分類することの意味は失われ、内面的には、どれもが「真」であるのでしょう。 そして、何というか、えーと、えーと・・・「主体性の動き」に着目すると主・客のどちらでもない第三者がそれを量るのは無粋かと。

誤りを恐れずに言えば、"好き"に始まる(修行)段階の「守破離」をよく整えた「心技体」が支え、その結果が「真行草」。 或いは「心技体」を良く整え「守破離」を経由して「真行草」へ結ぶのでしょうか。

あっ、「食う寝る遊ぶ」を書くの忘れた。


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*2 書聖と称されたほど有名。楷書の楽毅論(がっきろん)、行書の蘭亭序(らんていじょ)、草書の十七帖(じゅうしちじょう)など。

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Last-modified: 2008-12-04 (木) 15:16:57