私たちの身の回りにはたくさんの色があります。 四季折々の変化をみせる自然の色もありますし、交通標識や冠婚葬祭時の礼服など社会的に意味を持つ色もあります。 一般的には、"赤"といえば、「情熱」や「危険」、"青"といえば、「冷静」や「爽やか」などの印象でしょうか。 或いは「白黒を決める」、「黄色い声援」など、社会全般に共通するイメージがある思います。

脳が瞬間的にパッと認識する情報は言葉が示す意味よりも視覚情報の方が大きいことも知られています。 例えば http://wiki.zakka56.com/img/color-sample4.png この文章に違和感を感じるのはその証拠(※ストループ効果)

ある実験で同じ重さの箱2つを白と黒に塗り分けて、被験者に運んでもらう実験をした結果、白い箱の方が軽く感じられるようです。 また、別の実験では、目隠しをした状態の被験者に温度が一定の赤い部屋と青い部屋に一定時間過ごして貰ったところ、赤い部屋では温かく感じ、青い部屋では寒く感じるという結果がでました。 つまり視覚だけではなく、肌でも色彩を感じている事になります。 なかなか興味深いテーマなので、上手な色の使い方のヒントにでもなればと調べてみました。

温度と色

体温などを測るサーモグラフィ図を思い起こすと、温度が高い箇所を赤く表し、橙→黄色→緑→青→黒と低温になり、生命活動の活発な状態を赤、その逆が黒となります。 これは私達が連想する色のイメージと大まかに一致していると言えるでしょうか。

色彩と心理

一口に、「赤が好き」といっても茜色、朱色など日本独自の色やビビットな赤、パステル調な赤など実に多彩です。 恐らく「パステル調の赤は好きだけど、ダークな赤は嫌い。」な方もいるでしょうし、その逆もいるでしょう。 香りや音と同じように、好き嫌いに個人差が生じるのは、単に光としての色の波長とその神経的な反射のみならず、個人的な記憶や経験とも密接に結びついていて、本人の無意識層に深く蓄えられたまま自覚のないこともあります。

海苔は日本人にとってお寿司で馴染みの深い食材ですが、アメリカ人には好まれません。 それは味が嫌いなのではなく、黒い色が食べる気を起こさせないようで、ご飯を外側にしたお寿司にアレンジされたものを多く見かけます。 一方、日本人は青い色の食材に馴染みがないので食欲が減退しますが、アメリカ人の中でも青色に着色されたお菓子やケーキを食べなれている方は抵抗なく食べれるようです。

ここから先は社会心理学の分野になりそうなのでここで回れ右をしてやめます。 ちょっと軽い例を。

クリスマスの色といえば、赤と緑。とりわけ、衣類だとサンタクロースのイメージで赤と白でしょうか。 ちょうど、クリスマスイブに外食した際に、隣には子供を連れた夫婦のテーブル。 奥さんと店員の会話が聞こえました。

店員「(真っ赤な服が)クリスマスっぽくて良いですね。」
奥さん「クリスマスぐらいね。」

この些細な会話を勝手に肉付けすると、 「最近はめっきり着る機会がなくなった(赤い)服だけど、折角クリスマスに外食だし、思い切って着ちゃおうかしら。」といったように伺えます。

「赤い靴~♪履いてた~♪おんなの子~~♪」で知られるように、赤には、女児のランドセルや化粧室のマークといった、女性的な象徴として使われていることがあります。 しかし、大人の女性がこれらを身に着けている姿をあまり多くみかけません。(彩度の高い)ビビットな赤には、どこかに"幼さを伴うかわいらしさ"を連想させるのでしょう。

色彩イメージ

「赤といえばポスト」のように具体的な対象を思い浮かべることが出来ますが、 色から抽象的に連想するイメージもあります。 そして、心理的な影響が避けられないところも興味深い点です。 他方、かつての公衆電話が赤だったのは、街中で見つけやすい色である必要があったからですが、次第に緑→灰色へと移り変わりました。 携帯電話の普及に伴い、目立つ色である必要性が失われたからでしょう。

以下、色のイメージを。尚、地域や年代によって多少異なりますので参考程度に。

無邪気 新しい 純粋 健康 頼りない
自制 リラックス 母性 開放感 爽やか 悲哀 失望
聡明
情熱 興奮 治癒 危険 愛情 爆発 攻撃的 血
安全 平和 健康 生命 再生 中庸 未熟
親切 温厚 冒険 希望 注意 軽率
オレンジ陽気
ピンク若返り 恋愛 甘い
不活発 威厳 高級感 克服 孤独
グレー慎重
高貴 神聖 思慮深さ うぬぼれ 不安
赤紫華麗
平和 内気
権威 志
プライド

配色とバランス

栄養のバランスは大事ですが、見た目のバランスはどうでしょう。 目の前に青いご飯があったとして、迷わず口に運ぶのは躊躇いますし「大丈夫か、これ?」となるでしょう。食材も食器の色も全く同じ色では、保護色のようで食欲が増進するとは言えません。

バランス配分の目安は全体を100として、ベースカラー(基調色)を70%、サブカラー(補助色)が25%、アクセントカラー(強調色)が5%の比率にするのが好いそうです。 部屋を例に挙げると、天井・壁・床がベースカラー、ソファやカーテンなど大きな家具がサブカラー、絵画・観葉植物やインテリア小物などがアクセントカラーにあたります。

食卓の場合ならば、料理の色がアクセントカラーとなり、食器・リネン類がサブカラー、テーブルの色がベースカラーとなり、更に一皿の中にも添え物、余白、メイン食材のバランスが存在することになります。

色彩調和(色の組み合わせ)

http://wiki.zakka56.com/img/color-sample.png http://wiki.zakka56.com/img/color-sample2.png

類似色調和:有彩色(赤、黄、緑、青、紫、黄赤、黄緑、青緑、青紫、赤紫)とその色を含むような似通った色との組み合わせ。

同系色調和:濃淡の組み合わせ。

単色調和:有彩色と無彩色(白・黒・灰など)の組み合わせ。

  • 補色同士を混ぜ合せても無彩色が作れます。

補色:黒と白、赤と(青)緑、黄と紫のような反対色の配色。これはなかなか難しいので(少なくとも私には..)、以下にもうちょっと詳しく。

http://wiki.zakka56.com/img/color-harmony0.gif

※暖色・寒色の区別は色の組み合わせによる相対的な影響もあるので大まかな区別です。 

http://wiki.zakka56.com/img/color-sample10.png 1)黄色と紺を半分ずつ

http://wiki.zakka56.com/img/color-sample11.png 2)黄色の彩度を下げて紺の領域を増やした場合

http://wiki.zakka56.com/img/color-sample12.png 3)反転して薄黄色の領域を増やした場合

それぞれ印象に違いがありますが、どちらかの比率が大きくなった場合は、大きくなった方の彩度を下げると釣り合いがとれ、2の場合は紺色が薄黄色を従えている関係といえるでしょう。

補色の特徴

  • 互いの色を強調し合う
  • 補色同士を混ぜると彩度が低い色になる→無彩色として利用できる

民族衣装、幼児の描く絵、企業のロゴや商品パッケージなど、ビビットな色の組み合わせは強い印象で魅力的でもありますが、使い方によってはしつこくなりかねません。 所謂、パステルカラーのように彩度が低く淡い色は補色同士でも好ましく感じることが多いですが、彩度が高い場合は扱いが難しいので、無彩色(白など)のエリアを加えて緩和ゾーンを作ると色のケンカを抑える効果がある。

  • 明度:白に近いほど明度が高く、黒に近いほど明度は低い。
  • 彩度:原色に近いほど彩度が高く、くすんだ色ほど彩度は低い。

http://wiki.zakka56.com/img/color-mix.png

↑一番目の例だと、緑と赤がケンカしている感じがします。「補色対比」って言うそうです。
次は白色枠があることで赤も緑も活きてくる感じがします。
灰色枠は赤と緑を馴染ませている印象。
黒色枠は赤がより際立って見える印象。身近な例としてテレビの枠が挙げられます。

http://wiki.zakka56.com/img/color-mix1.png

↑明度を上げた場合

http://wiki.zakka56.com/img/color-mix2.png

↑面積配分を変えた場合

三色以上の組み合わせ

  • 三色の組み合わせならば、類似色二色+補色などを選んで色相環上に正三角形や二等辺三角形(四色なら四角形)が出来るような組み合わせにします。

http://wiki.zakka56.com/img/color-harmony1.gif http://wiki.zakka56.com/img/color-harmony2.gif

  • 五色で調和させる場合は三色で選んだ色の間に無彩色を挟むと調和しやすいですよ(黄・白・青・黒・赤etc)。
  • 六色ならば、三色の組み合わせで選んだ三角系にもうひとつ逆の三角系を組み合わせるか、四色の四角形の間に無彩色を二色加えれば調和します。

色の調和がうまくいかない場合は、比率の多い色の明度を上げたり、比率の少ない色の彩度を下げたりすると調和しやすくなります。 関連:模様の要素とイメージ

おまけ

印象派の作品の中には、色彩調和を複合的に使った例が多く見られます。 現在よりも色彩理論が発展途上であった時代なので驚きです。

『イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢』- ルノワール

http://wiki.zakka56.com/img/s-Renoir.jpg

赤茶色の髪と背景の色、ドレスの色などは「うーむ...。」と改めて驚嘆するような、しないような。使われている色を抽出すると

http://wiki.zakka56.com/img/s-Renoir-Colors.jpg

via:Color Palette Generator

外部リンク

色の組み合わせサンプル


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Last-modified: 2008-12-04 (木) 15:16:59